8月20日に群馬県地域包括支援センター・在宅介護支援センター協議会主催の成年後見制度に関する研修にて、弁護士法人龍馬の舟木諒先生、星野啓次先生とともに、講師をさせていただきました。
今回の研修では、元気なうちから備える任意後見制度を中心に講義を進め、現に相談支援を行う地域包括支援センター職員の皆さんが、相談事例を通じて、どのような対象者の最善の利益を守ることのできる制度利用を選択し、利用を進めるかについて検討をしてもらいました。
法定後見(成年後見、保佐、補助)は、既に自らの判断する力が十分ではないとした段階で財産を守るなどを目的に利用するものですが、任意後見は、自らの判断能力があるうちに、もしもの時に備えて契約によって後見役を決めておく制度であります。また、その契約と合わせて、遺言書作成や見守り契約などを結んでおくことを勧めたりもします。
何かことが起こってから知らない誰かが、家庭裁判所の審判により成年後見人として審判をされるよりも、自らが元気なうちに「この人」に自分の最善の利益を守るようお願いしておくことができたほうが、自分自身の安心になるのではないかと考えます。
また、地域包括支援センターが元気な人たちと何かある前から交流の機会をもち、こうした制度理解を勧めていくことは、これからの社会保障や福祉制度の在り様を考えてもたいへんに重要なことではないかと思います。
さてに、任意後見利用を検討する際に大切なポイントがあります。
①誰に将来の財産管理をお願いしたいかを決める(契約の相手)
②契約の内容、報酬を吟味する(何について手を貸してほしいのか、負担できる範囲)
③元気なうちの関わり方を考えておく
④定期的な検査を行う(脳ドックなど)
⑤もしも契約者に不足のことが起きたときのための予備的な契約者も検討する
当人同士の話しあいで契約内容を決めるのではなく、第三者や専門家を同席の上、契約内容の確認を行うことがとても大切なことだといえます。