先日、ある方とのお話の中で
「国民年金で入れる施設あるの?」
「近所で年金で入れる施設が出来るって聞いたんだけど、ほんとうかどうかと思って」
有料老人ホーム建設ラッシュは今も続いていて、一方で介護人材不足。
国民年金の満額支給は、月6万5008円(平成28年度)
人が暮らしていくには、少し古いデータですが
単身女性の月の消費支出は約15万円(平成25年度総務省調べ)
ぜんぜん足らない…。
にも関わらず、食費や住宅費用を含めて国民年金の額で入居が可能っていうのは
どのような試算をすると入居できるのでしょうか。
例えば、月々
家賃25,000円(1日2000円)
食費40,000円(1日1200円)
建物は新築で融資を受けた建物では、この家賃設定は難しいです。さらには、1日食費も、4人家族で概ね月66,000円くらいと言われていますので、一人1日1200円でも安い感じですが、限界の金額です。
この収支では、事業側は慈善事業として運営するしかありません。
しかしながら、この方に介護保険サービスを利用していただくと少し変化します。
例えば、要介護1の方が1日デイサービスを利用すると、自己負担約700円(食費等は含まない)かかるとします。それを週3回、月12回利用した場合、8400円の月本人負担が生じます。
これですと予算オーバーじゃないかとなりますが…
介護保険の自己負担は、この方の場合1割なので8400円です。つまり、9割は介護保険財源から事業側へ支給されます。つまり、84000円の収入が入るわけです。
事業側としては
家賃25,000円、食費40,000円、介護保険自己負担1割8400円、保険財源75600円が収入となります。149000円になるわけですね。
本人の負担は
家賃25,000円、食費40,000円、介護保険自己負担1割8400円=73,400円(月々)
ここで、家賃を15000円にするか、食費を30000円にするかは事業側の思案によりますが、いずれかを1万円値引きすることで、確実に、149,000円のお金が収入になるわけです。20名の入居施設であれば、同様の20名が入居した場合、月約3,000,000円の収入を見込むことができます。
こうした仕組みの中で、事業側の提供するサービス内容が重要になります。
安いから悪いというわけではありませんし、高いから良いというわけでもないのが介護サービス事業の評価視点です。
手元にあるお金でやりくりをしなければならないのは当然のことなのですが、その選択を見間違うと思わぬアクシデントに見舞われたり、後悔をすることになるわけですが、他の施設を探す労力や本人がようやく慣れた地を離れるのはたいへん骨の折れることです。
だからこそ、誰に相談して一緒に考えていくべきかという選択が大切なことだといえます。そして、経済的な事情、家庭内の事情、本人の心身状況など多くのこと寄せ集めた結果を踏まえて、施設を探していくことが何よりも丁寧になされていかなければ成らないと感じます。