当法人の活動理念は
「誰に相談してよいかわからないをなくす」としています。6月15日、16日の朱鷺メッセ(新潟県)にて開催された日本認知症ケア学会にてポスター発表をした際に、参加者の方から言われた「ステキな理念ですね。」はとてもうれしいひと言でした。
相談そのものをどのようにしたらいいのか。
こんな相談してもよいのか。
こんな相談するのは自分だけかもしれない。
など、人に相談するというのは多くの「不安」を抱えていることが多く、その不安を言葉にして整理することが難しい場合もあります。そんな時に、「誰に相談するのがよいか」が分かっているのと、分からないのでは、「不安」も感じ方も異なるものです。
また、これまでの相談を受けするなかで、相談者が相談中によく口にする言葉が「誰に相談してよいかわからなかった。」という言葉であり、それまでの相談していなかったわけではないにも関わらず、相談の先に「安心」がなかったことで、結果、その場に留まり悩むしかなかったと感じます。
昨年事業においては、当法人に寄せられた相談は402件。そのうち、専門機関や相談支援に関わる職の方からが約2/3を占めました。
何も暮らしの中にある課題に悩んでいるのは、当事者だけではありません。その課題に向かう専門職も同様に思い悩むこともあります。また、特定の分野においてスペシャリスト目指す人は、他分野の情報提供は「餅は餅屋」と紹介などをきちんとできることも大切です。
平成29年7月に「社会保障審議会福祉部会 福祉人材確保専門委員会」のソーシャルワーク機能に対する期待について、資料を発出しています。
その中で、「包括的な相談支援体制とは、全ての人が安心・安全にそ の人らしい自立した日常生活を継続することができるよう、福祉課題やニーズを発見した者又は相談を受けた者並びに所属する社会福祉法人等の事業者が、福祉のみならず、 医療、介護、保健、雇用・就労、住まい、司法、商業、工業、農林水産業、防犯・防災、 環境、教育、まちおこし、多文化共生など、多様な分野や業種の公私の社会資源並びに 住民主体の地域課題解決体制と連動し、福祉課題の解決やニーズの充足に必要な支援を 包括的に提供すると共に、制度の狭間の問題や表出されていないニーズを把握し、必要 に応じて社会資源やサービスを開発する体制といえるのではないか。」
ただ、単に相談を受け社会保障制度へアクセスして暮らしを補完するのではなく、ありとあらゆる資源をつなぐことを創造し、社会保障に頼らなくても暮らしていくことを目指せるような解決を考えていくべきなのだと思いますし、そのための相談支援体制が必要ですし、ソーシャルキャピタルの重要性が求められると考えます。
アンクルの活動は、シニア層を主な対象としていますが、生活上の不便さを感じている方や子育てや就労などの相談をお受けすることもあります。
「何で、アンクルにそんな相談??」という方もいますが、将来的な地域課題の1つを早期に関わることで、今必要とされている資源についてアンテナを立てることにもなります。そして何よりも相談内容の解決のために、多くの人とのつながりで支えることになります。また、そうした人のつながりがなければ「誰に相談してよいかわからないをなくす」の実践は不可能です。
これからも、このステキと言われる理念に引き寄せられた人たちが増え、社会保障だけを頼りにしない地域づくりと様々なネットワークが築いていけたらと思います。