みま~もの生みの親といえる澤登久雄氏の講演を数年前に聞いたとき、「今、医療や介護の分野においては、空前のネットワークブームといえます。」と話しており、連携、ネットワークづくりというキーワードを自らもよく使っていたことから、衝撃を受けたことを思い出します。
自分にない力を他者の知識や技術の手助けをもらい、1つだけではない課題の解決に取り組むことがとても意義のあることだと感じ、経験したきたからです。
しかし、人と人とがつながる機会をつくるだけでは、その場限りの機会で終わってしまい、その後の効果などに影響を及ぼす動機付けにまで発展しないことへの悩みも感じていました。
「空前のブーム…。」
ネットワークの機会に満足してしまったり、連携の機会づくりに囚われてしまい、その後生まれるであろう多くのチャンスやこれから互いのチカラで築いていくべきことを考えもしていなかったことに気づく機会となりました。
皆さんお集まりくださいという呼びかけをすれば、数名がただ集まることはそう難しいことではないですが、集まった人たちで1つの取り組みを丁寧に組み立て、10年先も、20年先も続けていくことのできる活動に仕上げていくことは容易ではありません。
糸を紡ぐのと同じように最初は上手くいかなくても、失敗やチャレンジを繰り返し時間をかけて良質なものを創り上げていくことができると多くの人の暮らしに役立てることができます。
最初から生地が出来上がっていて、ただ着るだけの着物ではなく、糸つむぎから染色や刺繍などをいれるように、ゆっくりとたくさんの人の手を借りながら、1つの形となっていくことが何よりも意味を成しているようにも感じます。
まさに、「ネットワークをつくる」こととはそういうことなのかもしれません。
糸つむぎは、綿や繭(まゆ)を錘(つむ)にかけて繊維を引き出し、縒(よ)りをかけて糸にすること。だそうですが、綿や繭、錘が周りの人たちだとしたら、縒りとなる人がネットワークづくりのキーとなる人といってもいいかも。
繭や糸という言葉に縁の深い群馬県、東毛地域であればこそ、糸をつむぐような活動が真に大切なのかもしれません。